ペットとの暮らしは、飼い主にとってこれ以上ないほどの喜びとなります。特に愛猫との生活は、お世話に何かと手間がかかる上、お世話をした分だけ何かを返してくれるワケでもありませんが、お世話をさせていただくだけで日々の生活が楽しくなるものです。
2003年以降、日本では子供の数をペットの数が上回るほど、ペットを飼うことは一般的なものになりました。それだけ飼い主の幸せがあり、同時に悩みも増えています。
家中のどこでも居場所になり、室内を縦横無尽に駆け巡る猫にとって、フローリング床はあまり快適な環境とはいえません。
滑りやすい・冷たい・固いと3拍子そろったフローリングでは、関節や膝に悪影響が出る可能性があります。飼い主にとっても、キズや汚れといった問題の原因になりやすいので悩みの種になりがちです。
フローリングの多い家でも愛猫に快適な生活を送っていただくために、飼い主であるあなたにしかできない対策があります。

猫を飼っているときの悩み
お家に猫がいることによって生まれる悩みは、多くの場合次のようなものがあります。

| 愛猫の悩み | 滑って転びやすい | 足場が硬い | 冬場は冷たい |
| 飼い主の悩み | 床にキズがつく | ゴミが散らばる | 床を嘔吐や粗相で汚される |
これらはほとんどが、フローリングに関係することです。もちろんこれらは愛猫にとっての悩みのごく一部に過ぎませんが、フローリングについて対策するだけでも、これらの問題ごとが負担になりづらくなることは確かです。
愛猫にとって滑りやすい床は危険

フローリングはそのままでは滑りやすく、足腰に負担がかかります。腰や背中の負担が大きい生活は、捻挫や脊髄炎、椎間板ヘルニアの原因となります。
個体差によりますが、猫は家のいたるところを駆け回ることが多く、狭い隙間に入り込むことも珍しくありません。
負担が蓄積されて、変な歩き方をしているように見えたら、身体に異変が起きているサインです。愛猫につらい思いをさせる前に、また、高い治療費を払う前に手を打つ必要があります。
飛び乗る・飛び降りるは猫の日常

テーブルやデスク、ソファにベッド……家中にある段差は、猫にとっては足場でしかありません。猫はどこにでも飛び乗りますし、それと同じだけ飛び降ります。
そういった「縦の動き」が多い生活の中で、着地の際に足腰への衝撃もそれだけ頻繫に起きます。床の固さは、その衝撃による負担に直結します。
食事中のテーブルや、作業中のデスクに乗らないように躾ることも大切ですが、運動不足やストレスを解消するために上り下りの負担を減らしてあげることも、同じくらい大切です。
肉球ひんやり

夏こそ涼しくて、廊下で伸びている様子が見れる可愛さがありますが、冬場の廊下は人だけでなく、猫にとっても寒い空間です。風邪の原因になるので、「冬場にうっかり廊下や、電気も何も点いていない部屋に閉め出してしまっていた」ということは避けたいです。
特に、家の隅っこに置かれやすい猫のトイレは、冷たいフローリングや廊下を歩いた先にあることも多く、それを嫌がって知らず知らずのうちにトイレを我慢していることも。トイレ我慢のしすぎによる病気は治療費が嵩みがちなので注意が必要です。
床が爪痕だらけ

歩く、走る、爪を研ぐ……。猫の行動は、いたずらでなくても床をキズつける原因になりがちです。
特に、キズがついた床ほど、長くなった爪をよく研げるので、床のキズを放置しておくと同じ場所に集中して爪を当てるようになり、結果どんどんキズが深まっていってしまいます。
床にゴミが散らばる

トイレ用の砂、抜け毛、爪とぎなど、愛猫との生活はそこら中に散らばるゴミをお掃除する生活でもあります。
滑りやすいフローリング床は、よりゴミも散乱しやすくなります。少しでも散らかりにくくする工夫ができれば、日々のお掃除ストレスの軽減にも繋がります。
吐いちゃう

猫はきれい好きなので、毛繕いも欠かさず行います。そして毛繕いをよくする分、吐いてしまうこともしばしば。毛玉の他に、消化されていないキャットフードや誤飲したものなど、原因は様々です。
当然ながら、吐いてしまったモノは素早く片付ける必要がありますし、床のケアも考えた片付けをしなくてはなりません。
対策
床材を変えるのはやりすぎ
床の滑りや寒さ対策としてリフォーム工事までするのは、「既に築年数が長い中古住宅で、元々リフォームを検討していた」という場合でもない限りは過剰です。
単純に費用がかかりすぎますし、家の様子がガラッと変わる環境の変化が、猫にとってもストレスになる可能性があります。
ラグやカーペット、マットを敷く
カーペットやラグ、絨毯やマットといった敷物は、費用、滑り止め効果、寒さ対策いずれにおいても優れています。インテリアとしてもお部屋の見映えが良くなりますし、柔らかい敷物は元気な猫が走り回ったときの騒音を軽減してくれます。
注意点として、カーペットや絨毯を敷くときは、毛が短いものがおすすめです。毛が長い敷物は猫の爪が引っかかったり、抜け毛の掃除が大変になります。
また、最初に買う敷物は、よほどのこだわりがない限りは安さ重視で選んだ方が良いでしょう。理由としては、
- 愛猫が敷物の上で過ごしてくれるかどうか、嘔吐や粗相をしてしまうときに敷物の上を避けてくれるかどうか、などを確かめる
- それらの相性が良くなかったときに、気軽に買い換えられる
といったことが挙げられます。
滑り止めシートを敷く
階段や玄関、キャットタワーの下など、段差があるところに滑り止めシートを敷くと、転倒・転落を防ぎやすくなります。
透明で美観に影響しないものや、防水加工で浴室にも敷けるものなど、バリエーションは様々。愛猫の好きな場所、よくいる場所に合わせて使うことができます。
注意点として、シートを貼った場所の境目に汚れがたまりやすくなり、交換の際に跡が残ってしまう可能性が高いです。もし跡になってしまった場合、お湯や除光液、中性洗剤で跡を拭き取り、水っ気が残らないようにしましょう。
フロアコーティング
- 敷物の上で嘔吐や粗相をしてしまったり、敷物の上にいてくれない等、敷物との相性が悪い
- 敷物を定期的に洗ったり、めくって床の湿気を取り除いたりするのが面倒
という場合、フロアコーティングがけという手段も有効です。
敷物と比べると
- リビングや廊下など、フローリング床全面をカバーできるので、思わぬ汚れを見つけた場合でもサッと掃除ができる
- 数年に一度のメンテナンス、買い換えが不要
- フローリング床の質感を損なわないものもあるので、フローリングの見た目や肌触りが好きな人にはうってつけ
といったメリットがあり、一方で
- 耐用年数が長い分、初期費用が高い。新居に引っ越す前や、引っ越した直後という物入りな時期でお財布に優しくないのは痛い
- アパートなどの賃貸住宅だとコーティングがけがやりづらく、戸建やマンションなど、マイホームを買った人向け
- 光沢が強い(=床がピカピカ光る)ものは、床の質感を損ないやすい
などのデメリットがあります。また、費用が敷物と比べて高額になるので、フロアコーティングを選ぶ場合は業者選びが重要になってきます。
お世話の手間を軽くしつつ、愛猫の健康とふれ合いの時間を手に入れる

いずれの対策にせよ、床そのものに対策を施すことになります。お部屋の模様が大きく変わるので、かけられる費用や生活を送る上での手間、猫との相性の3点を考えて、適切なものを選びます。
フローリング床の滑りや冷たさ、ゴミやキズ・汚れの対策をすることで、普段の掃除、粗相の後始末などの手間や、足腰を悪くしたり怪我をするリスクを減らすことができます。
愛猫は、可愛いペットであると同時に大切な家族です。忙しい日常生活の中でも、あらかじめフローリングの対策をしてお世話の時短をしておけば、愛猫とのふれ合いの時間を長く取ることができるようになります。