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愛犬に優しいフローリングを実現させるためにできること

ペットとの暮らしは、飼い主にとってこれ以上ないほどの喜びとなります。特に愛犬との生活は、ごはんや散歩など、お世話に何かと手間がかかるものの、それとは比べものにならないくらいの癒しをもたらしてくれます。

2003年以降、日本では子供の数をペットの数が上回るほど、ペットを飼うことは一般的なものになりました。それだけ飼い主の幸せがあり、同時に悩みも増えています。

室内飼いで多くの病気や怪我が防げることは確かですが、実は何の対策もしていない室内もまた、事故の温床です。愛犬に怪我や事故無く過ごしてもらうためにも、しっかりと対策する必要があります。

特に犬の場合、フローリング床のリビングにおいて注意したいのが転倒や落下です。犬は賢く、飼い主が知らぬ間に床を傷つけまいと足や関節に負担がかかる歩き方や立ち方をしているかもしれません。

小型犬は骨が細く骨折してしまいやすいですし、中型犬であっても、滑りやすい床では関節や膝に悪影響が出る可能性があります。

そんな健気な愛犬と、よりお互いに快適な生活を送れるために、飼い主であるあなたにしかできない対策があります。

犬を飼っているときの悩み

室内飼いによって生まれる悩みは、多くの場合次のようなものがあります。

愛犬の悩み滑って転びやすい地面に比べて足場が硬い冬場は冷たい
飼い主の悩み臭いやアレルギーが気になる抜け毛がよく散る嘔吐や粗相で汚される

これらはほとんどが、フローリングに関係することです。もちろんこれらが愛犬と暮らす上での悩みの全てだとは言いませんが、フローリングについて対策するだけでも、これらの問題ごとが負担になりづらくなることは確かです。

愛犬にとって滑りやすい床は危険

フローリングはそのままでは滑りやすく、傍目から見ても明らかに歩きにくそうにします。1歩の間隔が小さい犬になればなるほど、転倒リスクを抑えるために足に負担がかかる歩き方になります。

また、歩行だけでなく、座った状態から立ち上がるときの負担も重要です。ヒトと同じくソファーや椅子に座ることもあるとは思いますが、少なくともヒトよりは直接フローリング床に座り、そして立ち上がる機会が多いです。

負担が蓄積されてびっこをひく(=片足をひきずる)ように歩くようになると、関節炎のサインです。愛犬につらい思いをさせる前に、また、高い治療費を払う前に手を打つ必要があります。

愛犬をストレス源にしないために

日々の生活の中で、愛犬とのふれあいは楽しく、癒されるものです。ですが、時には愛犬の行動がストレス源になることも。

たとえば、爪で床が傷ついたり、粗相による臭いや汚れたりです。キズは大型なほど、粗相は小型なほど起きやすく、どんなにお利口な犬でも何かしらの悩みのタネになります。

キズも臭いも、残らないようにするためには大変な労力がかかります。私自身、一生懸命に粗相の後始末をしている傍で、尻尾を振ってこちらを見つめる愛犬の姿を見たときは、やり場のない感情を抱いたのを今でも覚えています。

フローリングを滑りにくく、キズや汚れに強く対策することは、ペットだけでなく飼い主にとっても生活の快適に直接繋がります。

滑りにくさが犬にとっての快適

犬にとって、快適なフローリングとはなにか。それは比較的シンプルで、滑りにくく、足への負担が少ないことです。

犬にとって普通のフローリングは、ヒトが凍った道路を歩くときぐらい滑りやすく、転倒や怪我に繋がりやすいものです。

ただ、凍っていない整備された道路がヒトにとって快適に歩きやすいように、犬にとっても滑りにくくなったフローリングは快適になります。

滑りにくいフローリングを目指すだけで、同時に飼い主の快適にも

フローリングを滑りにくくする工夫は、愛犬だけでなく飼い主の快適に繋がるというメリットにもなります。

なぜなら、滑りにくくする対策は、全てフローリングにキズや汚れ、臭いがつきにくくなる対策と同じ内容になるからです。

なので、愛犬の快適と飼い主の快適を分けて考える必要はありません。愛犬の快適だけを追求するだけで、それが自然に飼い主にとってストレスの少ない生活を送る工夫にもなります。

滑りにくく、手入れがラクなフローリングに変身させる4つの方法

それでは、実際にどうすれば愛犬の負担が少なく、掃除が簡単なフローリングになるのかを確認していきます。

タイルカーペット・クッションフロア

床材そのものの材質で対策する場合、おすすめなのはタイルカーペットやクッションフロアです。

理由としては、滑りにくさだけでなくお手入れのしやすさを両立しているから。室内飼いはただでさえゴミや汚れがつきやすいので、掃除のしやすさは気になるポイントです。

滑りにくさだけで言うならカーペットやジョイントマットという択もありますが、カーペットは粗相されたときに染み込みやすく、ジョイントマットは定期的な掃除が必須なため微妙です。

ワックスがけ

滑り止め効果のある、ペット専用ワックスを使うことで対策することができます。

このとき重要なのが、必ずペット用の水性アクリルのものを使わないといけません。理由は単純で、愛犬がうっかり床を舐めてしまったときに害がないからです。

耐用年数が1~2年程度のものが多いので、定期的な塗りかえは必要になるものの、滑り止めだけでなく傷や汚れ、水分や臭いに強いのは大きなメリットです。

犬用フローリングマット

クッション性が随一でコストを最も抑えられる手段が、フローリングマットです。

ジグソーのようなパズルマットより掃除がしやすく、よだれや粗相をされても水拭きだけでキレイになります。

小さな子供用のプレイマットとしても使えるので、子供と愛犬の両方がいる家庭にもおすすめできます。

注意点としては、犬種や性格によっては効果が不充分になってしまう可能性があります。たとえば力のある中型犬や、嚙み癖や引っ搔き癖、堀り癖のある犬の場合、マットがズレたりすぐボロボロになってしまいかねません。

また、家中どこでも駆け回る犬なら、マットの外で活動することもあり得ます。そうなると、全面に敷き詰めないと敷いた意味が。

小型犬やシニア犬、大人しい性格、お気に入りの場所に留まる性格など、愛犬はフローリングマットでの滑り対策が有効なのかを確認しておくと良いでしょう。

フロアコーティング

ワックスがけに比べて、費用と耐用年数が何倍も大きく長いものがフロアコーティングです。

1度コーティングがけをしてしまえば、数十年滑りにくいフローリングを維持できます。言い換えれば、ワックスの数十年分を1度で済ませてしまうようなものです。

塗り換えや掃除の手間が格段に楽になるので、新居暮らしや愛犬が幼いなど、長期使用を想定するならおすすめの選択肢になります。

ネックになるのはやはり費用で、効果や期間は長く良いものの、先述した3つの対策に比べて高額です。

  • 数年以内に引っ越す予定がある
  • ペット可の賃貸住宅に住んでいて、数十年同じ場所で住むつもりはない
  • 愛犬が若くない
  • 他人の愛犬を、一時的に預かっているだけ

たとえばこういったような状況の場合、他の対策を選んだ方がお財布に優しいといえるでしょう。

結局どれがいいの? 住まい別おすすめ対策法

ペット可賃貸住宅(アパート・マンション)に住んでいる場合

賃貸住宅の場合、「同じ場所にどれくらい長く住むのか」を考慮することが大切です。

日本賃貸住宅管理協会市場データ(日管協短観)より

一般的に、経済的に最もペットを飼いやすい子育て世代の8割以上が、6年以下の居住期間です。そのことを考えると、少なくとも数十年もの使用を想定した、耐用年数の長いフロアコーティングはあまり良い選択とはいえないことがわかります。

一方、(ワックスレスのフローリングでなければ)ワックスやフローリングマットは向いています。リビングが狭い分ワックスがけをしやすいですし、マットも全体をカバーしてもそこまで経費がかさみません。

戸建や購入した集合住宅(団地、マンションなど)に住んでいる場合

長く住む一軒家や分譲マンションなどでは、住んでいる間に床が痛んだり劣化したりして、補修や張替えをする必要が出てくる可能性があります。

それを遅らせる、または防ぐためにも、しっかりと長く効果の高い対策をした方が、愛犬だけでなくお財布にも結果的に優しい選択となります。

床材そのものをタイルカーペットやクッションフロアといった愛犬に優しいものにしたり、それが難しければフロアコーティングで滑りや傷を防止などが特に有効です。

社寮や出張先で暮らしている場合

会社で借上げている寮や出張先の賃貸住宅の場合、借主が自分ではなく会社になるので、床材を変えたりワックスやコーティングといった加工がそもそも禁止されていることも。

必然、マットを筆頭に敷物で対策することになります。この場合は、「そこを離れるときには処分する」と最初から割り切って、カーペットやジョイントマットを選んでも良いと思います。

効率よく室内飼いを安全にする

愛犬と暮らすにあたって、フローリングを快適にすることは、快適性だけでなく安全という観点からも重要です。

怪我をしてからの治療費と比べれば、いずれの対策でも格段に安く済むのは人間と同じです。

とはいえ、かけられる金額も有限である以上、住居に応じた適切な対策を取る必要があります。しっかり滑りにくいフローリングの上で、存分に愛犬との暮らしを満喫しましょう。

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