コーティングがけをしたフローリングは、汚れが落ちやすくなり掃除そのものがラクになるだけでなく、掃除に使える道具の幅が広がります。
たとえば、水拭きやアルコール拭きはもちろん、油性汚れに対して除光液や、UVコーティングならガンコ汚れに塩素洗剤を使うこともできます。
その一方で、コーティングがけをしたら使えなくなる掃除用具もあります。事前に受けた案内を忘れてしまったなどによって、相性が悪い掃除用具を使ってしまうと、トラブルになることも。
そんな悲劇を防ぐためにも、相性が悪い用具と、どんなお手入れ方法がOKなのかを確認します。

NGな掃除用具のキーワードは「剝がす」「溶かす」「削る」
コーティング塗膜は、フローリングを何十年もの間キズや汚れから守れるようにできている強力なものです。しかし、そんなコーティングにも「剝がす」「溶かす」「削る」には弱いという弱点があります。
たとえば、兵士が持つ盾を想像してみてください。盾は敵の剣や矢などの武器から身を守るためにあります。しかし、盾を腕から離されたり、盾そのものをダメにされてしまうと、その役目を果たせなくなってしまいます。
この「剝がす」「溶かす」「削る」というポイントを抑えておくだけでも、塗ったばかりのコーティングに不具合が出てしまうトラブルをかなり防ぐことができます。
コロコロクリーナーやガムテープ
「剝がす」の代表格はコロコロクリーナーです。コロコロや粘着テープとも呼ばれるゴミ取り道具ですが、コーティングがけをした床に転がすとゴミや埃ごとコーティングを剝がしてしまうリスクがあります。
「普段、床掃除でコロコロを使っている」という家庭はとても一般的なため、コーティングがけをした床にもつい習慣的にコロコロを使ってしまう、というケースは珍しくありません。
ガムテープも同じく、床に押しつけてゴミを取ろうとしたとき、コーティングの密着を緩めてしまう可能性があります。

強い洗剤やスチームクリーナー
「溶かす」可能性があるのは、酸性洗剤やキッチンハイターやカビキラーなどの強い塩素系洗浄剤、100℃~110℃程度の水蒸気熱を使うスチームクリーナーなどが、よくお問い合わせが来る原因になります。
ただ、これに関しては難しいところで、塩素系洗剤にも耐性があるコーティングでなら使用しても問題ないですし、スチームクリーナーも床に当てたらすぐさま溶けるワケではないため、短時間当てる場合なら問題なかったりします。
たとえばアイロンがけは、適切な当て方をすればシワを伸ばして服を綺麗に仕上げてくれますが、長時間当てすぎると服を焦がす原因になります。
それと同じで、スチームクリーナーも当て方を間違わなければ、使用できる掃除用具になります。
もし、これらの掃除用具を使いたいけれど、使っても大丈夫なコーティングかどうか忘れてしまった場合、コーティングがけをした業者に確認の電話やメールをすることが、最もトラブルを防ぎやすい手段となります。

メラニンスポンジやタワシ
「削る」ように汚れを取る掃除用具を使うと、一緒にコーティングも擦り減ってしまうため注意が必要です。
たとえば、メラニンスポンジがわかりやすいでしょうか。もともと洗面台の鏡や浴槽、ステンレスのフライパンや鍋、自動車など、「表面を傷つけたり塗装を削ってしまうため使用はNG」な箇所がありますが、コーティングがけをしたフローリングもまた同じ理由で、使用を避けた方が良いです。
メラニンスポンジに限らず、タワシ、金タワシを使ってしまってコーティングが傷んでしまったというお問い合わせをいただいたこともあります。これらのような、コーティングを削りかねないものは使用を控えましょう。
OKなお手入れ方法はこの3つ
では、普段のお掃除は何でやれば良いのでしょうか。
どのようなコーティングでもOKなのが、水拭きアルコール拭き・掃除機・ロボット掃除機です。
汚れがつきにくくなるため、いずれの方法でもお手軽にお掃除が完了します。
水拭き・アルコール拭き
コーティングが床への水分の染み込みを防いでくれるようになるので、水拭きやアルコール拭きができるようになります。
雑巾やタオル、ワイパーなどを使っての水拭き・アルコール拭きが有効です。もちろん絞りが甘い状態で、床をびしょびしょにしたまま放置してしまうのはダメですが、かたく絞って使えば問題ありません。
キッチンまわりの、床ハネした油汚れがなかなか取れない場合などは、水ではなくお湯や中性洗剤、マイペットなどの弱アルカリ性洗剤で拭き取ることで対処できます。
特に、ワイパーがけは立ったまま掃除できますし、水拭き代わりにウェットタイプ、掃除機代わりにドライタイプをそれぞれ使い分けられるのでおすすめです。
掃除機がけ
ゴミやほこりを取る目的で使います。ただ、ノズルの先端を丸ブラシにする必要はありません。
ブラシの素材であるナイロンは、すり減りに強い対摩耗性と、毛束が元通りに整い直りやすい復元力を意識した作りになっています。
つまり、それだけしっかりした尖ったものであるということになります。そのため、コーティングが傷つく原因となります。
ちなみに、隙間ノズルは特にコーティングを傷めるリスクはないので、どんどん使って大丈夫です。
ロボット掃除機
ルンバなどに代表されるロボット掃除機は、掃除機と似た要領で自動的に床を掃除して
ルンバなどに代表されるロボット掃除機は、掃除機と似た要領で自動的に床を掃除してくれるため便利です。コーティングがけをしたフローリングにも、もちろん使えます。
ただ、覚えておきたいポイントとして、日常的にロボット掃除機を使っていると、コーティングの摩耗が早くなることが挙げられます。
たとえば、切れ味が悪くなった包丁を研げば、良い切れ味は復活します。しかし、だからといって毎回使う度に研ぎ直していると、すぐに減ってしまいます。それと同じで、稼働させすぎるとコーティングの減りが早まります。
また、クリップやホチキス芯などの小物や文具を巻き込んでしまい、コーティングが削れてしまったというケースもあります。見えるところに落し物があったときは、ロボット掃除機に吸われる前に回収しましょう。
