フロアコーティングを検討しようと考えるとき、必ず考慮する項目のひとつに値段があります。フロアコーティングの値段相場はどれくらい? と疑問に感じているのではないでしょうか。
フロアコーティングには、ある程度の値段相場がありますが、種類によって値段はかなり違ってきますし、業者の都合によっても値段は変化してきます。
- 今もなお、時代遅れのスペック不足なコーティングを売っている業者が数多くある
- 住宅メーカーや不動産会社と業務提携しており、それらにマージン(=仲介料)を払う必要がある分高くなる
- コーティング剤そのものの値段以外にかかる項目が多い
など、コーティング剤の種類について、フロアコーティング業界の事情についてを、ざっくりとでも把握した上で値段を見る必要があります。

ここでは、フロアコーティングの値段基準と、フロアコーティング業界の最前線に立ち、営業を生業としていたプロが業界の事情と共に解説していきます。
フロアコーティング施工の参考だけでなく、水面下で動くウラ側の事情に興味がある人も、目を通していただけたら幸いです。
フロアコーティングの値段相場
フロアコーティングの値段を最も左右するポイントは、当然ながら施工するコーティングの種類です。
まずは、コーティングの種類によってどれくらい値段が変わるのかを確認してみましょう。
コーティングの種類 | 耐用年数 | 値段 |
・ワックス(リビング+玄関) | 半年~1年間 | 5~8千円 |
・水性ウレタンコーティング | 10年~15年 | 5~15万円 |
・シリコンコーティング(油性) | 10年~20年 | 15~25万円 |
・ガラスコーティング(油性) | 20~30年 | 15~40万円 |
・UVコーティング(油性) | 20~30年 | 15~40万円 |
上記のように、コーティングの種類によって持続性も値段も大きく異なります。高額なコーティングほど、品質や耐久性、耐用年数が長いのが一般的です。
というより、ワックスや水性コーティングはそもそも床の保護能力が不十分です。どうしても予算が無かったり、業者の選択肢が無い地域に住んでいたりしない限りは、できるだけ油性コーティングをおすすめします。
その上で、出来るだけ安く仕上げたい! という方は、よく使うお部屋に施工箇所を限定するという方法もあります。
たとえば、戸建やマンションにおいて、よく歩く箇所は玄関や廊下、リビングになります。これらの傷がつきやすい場所だけコーティングをするというやり方で、費用を半分近くに抑えることができます。
価格相場がブレる3つの原因
先述した、フロアコーティングの価格相場について、「15~40万円だなんて、随分と価格に幅が大きくないか?」と思うかもしれません。これには、フロアコーティングの費用がブレる3つの原因が関わってきます。
- 安さで勝負する他にない、技術力不足の業者
- コーティング液剤以外にかかる諸費用
- 不動産会社や住宅メーカーとの業者付き合い
順番に確認していきましょう。
価格勝負にもっていきたい、薄利多売志向の業者
フロアコーティング業界は歴史が浅く、まだまだ「良質なコーティングの適性価格」が一般に浸透していません。
そのため、たとえ仕上がりの品質が微妙な職人しかいない、あるいは塗装をアルバイトに外注して人件費を削減する技術力不足な業者であっても、「安いから」で選んでもらえる可能性が充分にあります。
しかも、この「価格勝負でお客さんを集める業者」は、フロアコーティングという製品の特徴とも合わさって比較的発生しやすいです。
技術力不足な業者と、コーティングの特徴との関係
フロアコーティングの特徴として、「目的はフローリングの保護」というのがあります。長期にわたってキズや汚れから床を守るのが、フロアコーティングをやる最も大きな仕事です。
ただ、生活のなかでその保護効果を実感するのは相当先の話です。コーティングの質や仕上がりで差が生じるとしても、すぐではありません。

そして、使い始め……つまりコーティングがけをしたばかりの状態は、どちらもとても綺麗に見えます。
たとえば、フライパンを購入するとします。100円均一で買ったフライパンと、専門店で買ったフライパンとでは、火の通りやすさやコゲつきにくさ、傷みにくさなどが全然違うことは容易に想像できると思います。
しかし、買ったばかりの状態や、1度や2度使った程度では、どちらのフライパンも綺麗なままなので、その差が実感できません。
それと同じく、フロアコーティングも品質の差がハッキリとわかるようになるまでには時間がかかるため、低品質でも施工直後の見映えと安さでお客さんを獲得できてしまいます。

「元々、そんなに長く住むつもりはない」という場合ならともかく、これから何十年と住む家のフローリングを保護しようと思ったとき、品質は少なからず意識して選んだ方が、暮らしはじめてから数年後の未来が変わっていきます。
コーティング以外にかかるお金
フロアコーティングを依頼するとき、コーティングの値段がイコール施工費用になるわけではありません。コーティング液剤の他にもいろいろと諸費用がかかってきます。
たとえば、最もわかりやすいのが人工(にんく。作業員の人件費のこと。大抵の場合、1日いくらで算出されます)です。フロアコーティングはムラなく綺麗に塗るのが難しく、修行を積んだ専門の職人に施工してもらうことがほとんどです。
また、その作業員の移動費や交通費、施工や養生(=家が汚れたり傷ついたりしないようにする処置のことです)に使う道具の費用など、細かい諸費用が色々と見積り書に積もっていきます。


このとき、諸費用がいくらかかるのかはまちまちです。家がコーティング会社から10km離れているお客さんと、50km離れているお客さんとでは交通費が違うように、金額は一定ではありません。
これは、フロアコーティング業者が自社のホームページ等に施工価格を載せていない理由のひとつでもあります。
もし、「家1件15万円」と掲載してあるのを見て見積り依頼をしたお客さんが、諸費用が乗っかって「20万円」と出された見積り書を読んだら、すぐに納得するのは心情的に難しいです。
そしてもう1つ、この諸費用が大きく変わる要因があります。それが3つ目の原因である業者付き合いです。
不動産会社や住宅メーカーとの付き合い
フロアコーティングをやる最も効果的なタイミングのひとつが「引っ越し前」です。スマートフォンの保護フィルムが使い始める前に貼るものであるように、生活が始まる前のまっさらなフローリングは絶好のコーティングしどきになります。
なので、フロアコーティング業者にとって、フローリングが必ずまっさらである住宅を購入したばかりの人はメインターゲットです。このメインターゲットをお客様にする機会を増やすべく、不動産会社や住宅メーカーと提携しています。
仕組みはシンプルで、不動産会社や住宅メーカーから住宅購入者を紹介してもらったり、情報を貰って営業します。そこから依頼をしてもらえたら、中間マージンをお返しするという流れです。
そして、この「中間マージン」は一見フロアコーティング業者が不動産会社や住宅メーカーに支払っているように見えますが、この仕組みでの依頼は諸費用に盛っている場合が多く、実際にはマージン額もお客さんの負担になっていることがほとんどです。
業者付き合いをしているフロアコーティング業者は悪徳か
この仕組みだけを知ると、「不動産会社や住宅メーカーと組んで、お客からより多くの費用をむしり取るなんて、そういうことをやっているフロアコーティング業者は悪徳業者だ」と思うかもしれません。
しかし、実際は中間マージンの有無が、業者の優良・悪徳と結びつくわけではありません。この仕組みは、実は私たちの日常生活で頻繫に発生している仕組みだからです。
たとえば、トマトを買うとき、スーパーマーケットや八百屋で買う人がほとんどです。そして、それらのお店に並ぶまでには、農協や組合、集荷市場や卸売市場といった流通経路が関わってきます。
そうした流通の分だけ、それぞれの利益のために価格が上乗せされます。つまり、トマトを買ったとき、お金は八百屋だけに支払っているように見えても、実際には市場や組合、生産者といった様々な人達の利益の分まで支払っています。
フロアコーティングについても同じで、まだまだ知名度の低いフロアコーティングを勧めるためには、どれだけ営業マンがいたところで全く足りません。そのため、コーティング業者は、お客さんだけでなく不動産会社や住宅メーカーにも積極的に営業活動をしているのです。

これは、優良業者・悪徳業者に関わらず、どこでもやっていることです。むしろ、施工不良やクレームは業者付き合いそのものを切られる原因になることを考えると、優良業者である方がより多くの不動産会社や住宅メーカーを通じた営業をしているといえます。
とはいえ、コーティングを依頼するこちら側にとっては、特に工事に関係のないマージンを払う必要はゼロです。支払わずに済む費用はしっかり回避しましょう。
適切な相場を把握し、安さと品質のバランスが良い業者を選ぶ
フロアコーティングの価格は様々な理由で変動するので、ネットから入手できる相場情報の精度には限界があります。
大まかな相場を把握したら、実際に見積りをもらうことで、あなたの家でやる場合の適切な工事価格が見えてきます。
このとき、技術力も実績もある業者のうち複数社から見積ってもらうことで、安さにつられて仕上がりが悪い仕事をされるリスクを減らすだけでなく、費用の面でも安心して依頼することができます。